Real Face

ギリギリでいつも生きていたいから

マツエク

「マツエク」は、この世界の大半のオタクの皆さんに最も関係のない単語の一つだろう。

 

どうやら、「まつ毛エクステ」という意味の言葉らしいが、ご存知だろうか?

 

「まつげをエクステンション」、拡張するらしい。僕みたいなオタクが知っているエクステンションは "extention of function"という関数の定義域を拡大することぐらいだが、どうやらそうではなくて、つまるところ、まつげを延長することらしい。

 

まつ毛は、眼球にゴミが入ることを防ぐ働きを持っており、長いほうがより広い範囲からの広いゴミを拾うことができる。また、それに加えて、まつ毛の長い女性は目が大きな印象を与えるが、人間が他人の顔から得る情報の多くが目であるから目の大きな女性は魅力的だとする説もある。

このように、まつげをエクステンションすることは近年美容的行為の一つとして広く行われている。

 

 

多くの人間が社会の一員であろうとしている。

社会には多くの基準となるような価値観が存在していて、それを如何に逸脱しないかによってその人の社会性が規定されている、と感じる。

例えば清潔感、あるいは「美容に気を使っている感」は社会的人間と非社会的人間(反社会的人間でないことに注意)を識別するために便利な指標である。

そして、そのような基準を保つことは極めて社会的で文明的な活動と言えるだろう。

 

人間は、男性と比べると化粧をしている女性の方が圧倒的に多い。これは、「女性は綺麗であるべき」「女性は綺麗でありたい」というような差別的とも捉えられる価値観から来る事実だと思う。

もしもそれが差別的であるか、本能的であるかはともかくとして、社会全体の通説であるなら、その価値観を“逸脱しない事”が社会で生きていく上で求められる。

 

これは、すごくつらい。

さっきも言ったように、「極めて社会的で文明的な活動をすること」は、時と場合、あるいはその人の人間性によってはすごくつらい。

このエントリを平日の10時頃に書いていることがまず一つアウトである。

 

「まつげをエクステンションすること」は、美容的行為として自分の尊厳を高め、自分の欲求を満たすことに加えて、社会的活動の一つでもある。さらに、どうやら「エクステンションオブまつげ」は効果に持続性があるらしく、その間のメイクアップというつらみを緩和する働きもあるらしい。しかも可愛くなるらしい。

これは、すごくすごい。

 

僕は、もしも女性が、社会に化粧を強いられているのであれば、それはとても悲しいことだと思っていた。(もちろん、そうじゃない女性がいることもわかっている)

それ以前に、僕や周りのオタクが、社会に「服を着ること」や「髪を整えること」、あとは「朝起きること」とかを強いられているというのはとても悲しいことだと思う。

本当はこのエントリだって夜中の3時くらいに書きたい。

 

だから、頑張って、(少なくとも僕自身が社会と関わりあう中で必要な)最低限の社会性だけをUNIQLOや無印で確保しているし、必要最低限な社会性をどれだけ小さくできるか(=どれだけ自由に生きられるか)ということを意識している。そのために「食事にかかる時間」に投資したり、「朝の支度にかかる時間」に投資したり。この話は何度も書いている。

 

つまるところ、少なくとも僕よりは社会と厳しく関わっているであろう女性らのつらみ(社会性を確保すること)を簡単にする方法があれば良いことだなあ、と思っていた。

「メイクにかかる時間」を買ってあげたい!

 

そうしたら、どうやら、まつげエクステンションにはそう言った側面があるようだ。

これには感動した。美容のためだけじゃなくて、自分のため、そして自分の時間のために行う(継続的効果のある)美容的行為が存在するんだね。これは良いことだなあ、と思った。

 

整形やその他にも、もしかしたら似たような部分もあるのかもしれないと思って、価値観が広がって良かった。

凝り固まった価値観を、あんまりエクステンションできなかったら悲しいことだね。